HOME教育学部ウェルビーイング学科みんなのWELL-BEING

well-being_banner_l

Vol.07

「ブータンの幸せ」

前回、ブータンの話をしましたので、引き続き、ブータンの幸せについて述べましょう。

ブータンは、 GNHで有名です。グロス・ナショナル・ハッピネス。GNP(グロス・ナショナル・プロダクツ)やGDP(グロス・ドメスティック・プロダクツ)ではなく、幸せで国の繁栄を測ろう、というスローガンです。

ブータンは世界一幸せな国と言われることがありますが、そうではなく、世界で初めて国力の目標に幸せを掲げた国、というほうが正確でしょう。

ブータンがGNHを掲げた理由としては、もちろん、前回も述べたように敬虔な仏教国であるから、ということを第一に挙げるべきでしょう。また、ブータンは中国とインドという大国に挟まれた小さな国であり、中国との国境紛争も続いていますから、ブータンは幸せを目指した素晴らしい国であり、なくなってはならない大切な国なのだということを国際社会にアピールする必要性があったとも言われています。実際、経済的にはインドに近いことが知られており、経済的にはインドの近付くことで、政治目標は世界に注目されることで、国としての繁栄を目指していると考えられます。

ブータンを訪問して感銘を受けたことの一つは、前回述べたように多くの国民が世界の生きとし生けるものの幸せを願っている点ですが、もう一つは、困ったときに頼る人の数です。ある日本人が、ブータンの人々に「本当に困ったときに頼れる人の数は何人ですか」と調査して回ったところ、その平均値は50人だったというのです。

なんという人数でしょう。そんなにたくさん信じる人がいると安心ですよね。

かつての日本の村社会もそうだったのかもしれません。しかし、濃すぎる人間関係に辟易し、戦後は多くの人が都会に出てきました。他人の世話にはならないことが気楽でいいと思われていた。しかし、実は、いざというときに不安になります。都会での一人暮らしや核家族は、孤独になりやすいのです。つまり、人は、誰かとつながると幸せになる生物なのです。

ブータンではそんなつながり豊かな村社会が維持されていることが、幸せの一つの秘訣だと言えるでしょう。

もうひとつ、ブータンの幸せを象徴するエピソードがあります。

ブータンのある街には五軒のレストランがあったそうです。で、ある店が一番美味しいので、流行っていたそうです。しかし、しばらく経つと、材料がなくなり、今日はもう閉店。二番目に美味しい店にお客が集まります。やがて二軒目も材料がなくなり、本日終了。これを繰り返して、五軒とも順に賑わっていたそうです。

ある人が、一番美味しいレストランの店主に聞きました。「どうしてもっとたくさん材料を仕入れないのですか? そうすれば、お客さんが入り続けるではないですか。」その質問を不思議そうに聞いていた店主は答えたそうです。「そんなことをしたら、他の四軒が潰れてしまうじゃないですか」

自分の利益だけでなく、みんなの幸せを願っていたんですね。

世界の生きとし生けるものの幸せを五体投地で願うブータンの人々の想いは、実践されているのです。

大学案内
入試情報
教育
学部
大学院(研究科)
研究科(一覧)
研究
研究所・研究室・センター
学生生活・就職

大学案内

入試情報

教育