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Vol.23

「AIは人間の仕事を奪うのか?」

ChatGPTなどのAI(人工知能)が発展するにつけ、「AIはどこまでいくのか?」が議論になっています。深層学習に基づく生成型AIは、様々な質問に答えることができて、もはや弁護士試験や医師国家試験に受かるレベルだと言われています。一昔前のAIは東大に受かる学力に至りませんでしたが、もはや東大合格レベルに達するのは時間の問題でしょう。

ChatGPTと対話していると、まるで人間が考えて答えているようですが、なんと、ChatGPTのアルゴリズムは、会話の次に出てくる単語を推定しているだけなんです。世界中の言語を学習して、それまでの会話の文字列から、文字列の続きは何になるのかを推定して提示しているだけなんです。

ChatGPTを見ていると、人間もそうなんじゃないかと思えてきます。人間も、考えて会話をしているようですが、過去の経験から「こう言われたらこう言う」というパターンを生成しているだけなのではないか。それを、後付けで、考えている気になっているだけなのではないか。私はかつて、人間の心は本当は幻想なのではないかという本『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房、2004年)を書きましたが、まさにそれが検証されつつあるように思います。

ChatGPTなんて、所詮は連想マシン。人間も実は連想マシンに過ぎない。感情とか欲とかいろんなものがあるように私たちは感じていますが、実はあるように感じているだけで、本当はない。ないけどある。あるけどない。

般若心経の「色即是空空即是色」です。色(鮮やかな現実世界や意識)は本当は空である(つまり、ない)。本当はないけれども、あるように見えている。

私は、AIの進歩する未来とは、昔から仏教やその他の思想が言っていた人間存在の不確かさを、人類が再確認することなのではないかと思っています。

また別の見方をすると、AIがやっていることは、所詮、世界中にある言語を学習した結果を提示しているだけです。人間の頭脳では覚えきれない世界中の大量の知を全部知っている、めちゃくちゃ賢い友達ができただけです。めちゃくちゃ賢いので、様々な仕事を手伝ってくれます。だったら手伝ってもらって、人間は個性と感受性と創造性を生かして自分だけの新たな挑戦をしていけばいいのではないでしょうか。そのうち、AIが実ロボットの身体を持つようになり、スポーツもアートも料理も熟練技能も人間よりもスーパーうまくなるでしょう。これもまためっちゃ万能の友達ができるわけですから、仲良くすればいいだけではないでしょうか。

AIは人間の仕事を奪う、という人がいます。確かに、車が出てきたときに馬車の御者の仕事がなくなったように、今ある仕事の多くは失われるでしょう。しかし、自動車ができたときには運転手という新たな仕事ができたように、次から次へと新たな仕事ができるでしょう。過渡期には痛みは伴うとは言え、長い目で見ると問題はないでしょう。
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