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Vol.28

「利己と利他」

利他的な人は幸せです。利己的な人はあまり幸せではありません。

ということは、利己的であるよりも、利他的である方がいいですよね。

ところが、「私は利己的な人生でかまいません」という人がいらっしゃいます。妻と私が毎日行っている「前野夫妻の幸福学TIPS」(音声メディアVOICYで放送しています。無料です。ぜひ聞いてみてください)で、ある日、利他的な人は幸せという話をしたんですが、そのコメント欄に上のコメントが寄せられたというわけなんです。

まあ、もちろん、本人が望むのならば、利己的な人生を送るのは自由なのですが、それはイコール、不幸せな人生に陥るリスクがあるということです。もちろんこれは統計的な研究の結果ですから、中には、自分勝手で利己的だけれども幸せという人もいるでしょう。優しく利他的だけれども不幸せという人もいるでしょう。しかし、多くの場合、利他的だと幸せで、利己的だと不幸せになる傾向があるというのが統計的な研究結果です。

コメントをくださった方のニュアンスは、「私など、利他的ないい人になることなんかどうせできないから、せいぜい利己的に美味しいものを食べたり面白いことで笑ったりという小さな幸せを積み重ねますから、利他的になれ〜、なんて難しい正論を言わないでください!」という感じだったのかもしれませんね。

いえいえ、利他的になろう、というのは聖人になろうということではないんです。すべての営みに利他は含まれていると思うんですよね。あるいは、利他の種が。

たとえば、美味しいものを食べることは、自分の幸せを満たすことですから、一見、利己的な活動に思えるかもしれません。しかし、誰かと食事をしていて、その人があなたとの会話で楽しい気持ちになったら、それは人を喜ばせているので利他ですよね。料理を作ってくれた人に「とってもおいしいです」と伝えたら、その人は喜んだりさらにやる気が出たりしますから、おいしいと伝えることは利他です。あなたが食事を食べたおかげでエネルギー一杯に仕事をするなら、その仕事を通して世の中の役に立つわけですから、利他ですよね。

あなたが面白いテレビ番組を見て笑ったとしたら。こちらも同じです。周りの人を楽しませているかもしれませんし、視聴率の上昇を介してお笑いスターのやる気と幸福度を高めているかもしれません。あなたがストレスを発散したおかげで仕事がはかどって、よりいっそう世の中のために役立てるかもしれません。

紙の表に利己と書いてあったら、裏面には必ず利他と書かれているのです。

ですから「私の人生は利己まみれでもしょうがない」と考えるのではなく、その裏にある利他について考えてみていただきたいのです。

仏教では、自利利他円満と言いますよね。自分の利益と、利他と、両者がお互いを支え合って丸く満ち足りて不足がないこと。幸せに生きるために必要なヒントですね。
 
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