HOME教育学部ウェルビーイング学科みんなのWELL-BEING

well-being_banner

Vol.30

「『もっと〇〇だったらいいのに』のやりすぎに注意」

調査会社カンター・ジャパンが16歳以上の男女を対象に財産の所有と幸福感について21ヵ国で行った2012年の調査によると、「もっと多くの財産があればもっと幸せだろう」と思う人(非常にそう思う、ややそう思う、と回答した人の合計)は、ロシア(70%)、中国(70%)、日本(65%)、ドイツ(37%)、イタリア(36%)、フランス(35%)、スペイン(27%)、イギリス(21%)、アメリカ(16%)だったそうです。なんと、日本人は、ロシア、中国に続く65%に達しています。一方、アメリカでの結果はわずか16%。むしろ否定的な人が59%と、日本とは真逆の結果となっていました。先進諸国の中では、日本が唯一50%を超えるという、特徴的な結果です。

『もっと〇〇だったらいいのに』のやりすぎに注意

これはどういうことでしょうか。

日本も含む先進諸国では発展途上国に比べて一人当たりGDPは高いのですが、それでも満足しない人が日本には多いということです。最近は失われた30年とも呼ばれ、経済があまり成長していないと言われています。とはいえ、日本は高いレベルの豊かさを維持しています。なのに、日本は「もっとお金があったらいいのに」と思う人が多いのです。

これは、現在を楽しむことが下手だからではないでしょうか。「今あるお金で何をする生活を楽しむか」に注力していれば、今はもっと幸せなように思います。今を楽しまずに、もっと先の幸せを考えよう、という思考は真面目な準備行動とも言えますが、その思考に捉われすぎると、いつになっても今は楽しめないのではないでしょうか。

海外旅行をしたり海外に住んだりした後に日本に帰ってくるとわかりますが、日本は治安が良く、食べ物が美味しく、しかも安く、四季の変化も豊かで、ウェルビーイング(幸せ、健康、心と体のよい状態)でいるためにはとても適した国です。なのに、この素晴らしい日本での生活を楽しまずして、何をすべきでしょうか。

将来のために備えるのをやめようとはもちろん言いませんが、「もっと〇〇だったらいいのに」とないものねだりするのはほどほどにして、今を楽しむことに気持ちを向ける方が、生活のウェルビーイングは高まるでしょう。

感性を開いて、今の生活を楽しむことをお勧めします。四季折々の植物の美しさ。鳥の鳴き声。蝶の舞う姿。川を泳ぐ魚たち。朝焼けと夕焼け。そして四季折々の味覚。親切でおもてなしの気持ちに溢れた人々。安全な街、さまざまな観光地。歴史ある伝統芸能や伝統工芸。エンターテインメント。都会には多様性が、地域には豊かな自然が満ち溢れています。今を楽しみましょう。いまここに、あなたの目の前に、あなたの幸せはあるのです。
大学案内
入試情報
教育
学部
大学院(研究科)
研究科(一覧)
研究
研究所・研究室・センター
学生生活・就職

大学案内

入試情報

教育