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Vol.37

「マインドフル・イーティング」

私は神奈川県南足柄市の大雄山最乗寺で「令和の寺子屋Well-Being School」というのを仲間と行っています。ここで、ゲストの朝野かおりさんが行ったマインドフルネスの講座が素晴らしかったので紹介しましょう。
マインドフルネスは、もともと仏教などの宗教の瞑想や座禅で目指していた心の状態、すなわち、「いまここに心がある状態」を表し、日本語の「念」に対応していると言われます。確かに「念」の字は、「今心」と書きます。グーグルが、宗教色を抜きにしたマインドフルネスが従業員の生産性、創造性、ウェルビーイングの向上に寄与することを明らかにしてから、国際的にも注目を集めています。

朝野かおりさんは、グーグルのサーチ・インサイド・ユアセルフというマインドフルネスの講座の資格を持っている数少ない日本人の一人です。朝野さんの講座では、呼吸に意識を集中する瞑想、問いへの答えを呟いてそれを聞くという瞑想も行われていましたが、昼食どきに行われていたマインドフル・イーティングがどなたにでも気軽にできるマインドフルネスだと思うので、紹介しましょう。

要は、黙って、食べ物の味や色や匂いに集中してよく味わって食べるというものです。食べ物の味や色や匂いに注目している瞬間に、過去にあった嫌なことや、未来に行うべき気の重いことに心が囚われてはいませんよね。つまり、今ここに集中できています。美味しい食べ物があるおかげで、そこに集中すれば今ここに心がいられるという、実践しやすいマインドフルネスだと思います。

あなたもぜひやってみてください。朝昼晩いずれでもかまいません。食事を前にしたあなた。まず、食材をじっくりと見てください。どんな色をしていますか? どこが鮮やかですか? 見たことのない色はありませんか? 美しく美味しそうな色をしていますか? それぞれの食材がどこからやってきたかを想像してみてください。田んぼですか、畑ですか。牧場でしょうか、海でしょうか。それは日本ですか、他の国ですか? ありがたいですね。食卓の上の様々な食べ物は、いろいろな人の手を通してあなたのところにやってきました。動物や魚は、それぞれの人生を生きた後に、あなたに命を委ねた尊い存在です。ありがたいことです。

何を最初に食べるかを決めてください。なぜそれにしたのでしょうか。それを箸やフォークで手にして、口の近くに持ってきてください。まだ食べないでくださいね。まず、じっくりと匂いを嗅いでみてください。どんな匂いでしたか? 想像通りでしたか? 違いましたか? 違ったとしたら、どんなふうに斬新でしたか?

では、いよいよ、口に入れて、一口だけ噛んでみてください。噛み心地はどうですか。予想通りですか? 違いますか? ジューシーでしょうか。どのような味覚が口の中に広がりますか。唾液が分泌されるでしょうか。触覚、味覚、嗅覚、そして音など、いろいろなことをじっくり感じたら、もう一口、噛んでみてください。

こんな感じで、ゆっくりと、無言でいただきます。食べ物の味がいかに豊かで、私たちはいかに感謝すべきであるかを感じられることでしょう。しかも、心が落ち着きます。豊かな時間。マインドフル・イーティング、おすすめです。
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