NHKに「おかあさんといっしょ」という番組があります。母親がいない子供や、父親との関係を学びたい子供のためには、今後問題になる名称かもしれないと思ったら、NHKのBSプレミアムやEテレに、「おとうさんといっしょ」もありました。今後は「多様な保護者の方々といっしょ」も必要になるだろうと思いました。

さて、差別や偏見の問題を述べたいのではなく、「おかあさんといっしょ」というタイトルは、暖かくウェルビーイングにあふれたタイトルだと思うので、そのことについて述べてみたいと思います。

間違いのない事実があります。すべての人間は、お母さんから生まれてきたということです。すごくありませんか。人類20万年、現代の地球上に80億人。みんな、母親から生まれてきたのです。

今は母親とは一緒にいられないなど、いろいろな事情のある子供もいますが、みんな、生まれてきたときにはお母さんと一緒だった体験を持っているのです。

心理学には、生まれてきたときに母親から分離したことが人類の孤独感の原因だと考える説もあります。バース・トラウマといいます。

母なる大地、母なる海、ともいいますよね。フランス語では、大地はterre。女性名詞です。イタリア語では、terra。やはり女性名詞です。

海はフランス語では女性名詞（mer）。しかし、イタリア語では男性名詞です（mare）。

 ややこしいですね。いずれにせよ、私たち生物は大地と海から生まれたわけですから、日本語の「母なる大地」「母なる海」という表現はしっくりきます。

ハグされると幸福度が高まる、という研究結果もありますね。人は、包み込まれると安心するようなのです。これも、赤ちゃんのころ、母親に抱かれた記憶が関係しているのかもしれません。あるいは、本能的に、抱かれると幸せになるように心がプログラムされているのかもしれません。

あなたは海派ですか？　山派ですか？　僕は海の近くで育ったためもあってか、山より海が好きでした。遠くまで開けた広い海を見ていると、心も大きくなるようです。爽快です。

しかし、大人になり、森に三日間滞在するプログラム（森のリトリート）を経験してから、森が好きになりました。自然林の中に座り、多様な木、花、虫、鳥に囲まれていると、すっぽりと包み込まれたような安心感を感じます。

爽快感と、安心感。母親から感じるのは、包み込まれた安心感の方ですね。

お母さんが近くにいる人も、思い出の中にいる人も、ぜひ、母親の温もりと優しさを思い出してみてください。感謝ですね。すべての人が、優しさに包まれていますように。